一本鎖DNA結合蛋白質とケルセチンとの複合体の結晶構造と、フラボノールによる阻害特異性の構造上の根拠
A Complexed Crystal Structure of a Single-Stranded DNA-Binding Protein with Quercetin and the Structural Basis of Flavonol Inhibition Specificity
- 出典:
- International Journal of Molecular Sciences
- 2022
- 23
- 588
- DOI:
- 10.3390/ijms23020588
- 要旨:
- 緑膿菌が有する一本鎖DNA結合蛋白質(SSB)の阻害作用として、各種フラボノール(ケルセチン・ミリセチン・ケンフェロール・ガランギン)をスクリーニングした。その結果、ミリセチンが2.8 ± 0.4 μMのIC50値を示し、他の3種は不活性であった。非阻害剤と認定したケルセチンと緑膿菌SSBとのX線結晶解析を行い、このデータを元に、阻害剤ミリセチンとの結合を分子ドッキングした。ケルセチン、ミリセチンともに、緑膿菌SSBの同一の部位に結合するが、その様式には違いが見られた。水素結合を介するAsn108・Lys7・Glu80との相互作用はいずれも、ミリセチンには見られるが、ケルセチンには存在せず、阻害作用の有無の根底をなすものである。