ケルセチン-3-O-β-D-グルコピラノシド(イソケルセチン)は、猫由来食道内皮細胞に抗酸化作用と抗炎症作用を示す
Anti-Oxidative and Anti-Inflammatory Effects of QGC in Cultured Feline Esophageal Epithelial Cells
- 出典:
- Korean Journal of Physiology & Pharmacology
- 2013
- 17
- 81-87
- DOI:
- 10.4196/kjpp.2013.17.1.81
- 要旨:
- 猫由来食道内皮細胞の培養液を酸で処理すると、2時間後の細胞の生存率は36%に低下し、12時間後には全滅した。しかし、ケルセチン-3-O-β-D-グルコピラノシド(イソケルセチン)を50 μM濃度で添加しておくと、たとえ酸を作用させても、生存率の低下は抑制できた。低下抑制の説明データとして、イソケルセチンは酸による細胞内における活性酸素種の発生を抑制した。酸以外にも、病原性の内毒素・インドメタシン・エタノールが活性酸素種を発生させたが、これら全てをイソケルセチンが抑制した。イソケルセチンの働きとして、SODおよびカタラーゼを活性化する一方で、酸によって減少したカタラーゼの発現を元に戻した。食道内皮細胞への酸の悪影響として、核内因子NF-κBの他の細胞への移行・シクロオキシゲナーゼ-2(アラキドン酸の代謝を担う酵素)の発現・プロスタグランジンE2の分泌の、3点が活性化した。これら3点とも、炎症誘発の根底をなす現象だが、いずれもイソケルセチンが抑制した。以上の結果は、猫の食道炎の予防や治療に、イソケルセチンが非常に有望であることを示唆した。