ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ケルセチンはClpPを標的としてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の病原性を低下させ、致死性肺炎からマウスを保護する

Quercetin Reduces the Virulence of S. aureus by Targeting ClpP to Protect Mice from MRSA-Induced Lethal Pneumonia

要旨:
カゼイン加水分解酵素P(ClpP)は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の病原性因子である。フラボノイドをスクリーニングして、ClpPの阻害物質を探索した結果、ケルセチンが最も高い親和性(KD=197 nM)を示した。マウスにMRSAを感染させると、致死性の肺炎に罹患して、24時間後の生存率は20%以下を呈した。しかし、感染直後にケルセチンを皮下注射すると、96時間経過しても生存率50%をキープした。ClpPを有さないMRSAに感染したマウスは、96時間後でも生存率100%であった。以上の結果は、MRSAの致死的な因子はClpPであり、ケルセチンはこれを阻害して生存率の延長を実現したことを示唆する。