ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

短期間のケルセチン摂取は、健康な成人の運動後のインスリン感受性と抗酸化能を改善し、サイクリングの持続時間を延長する: パイロット研究

Short-Term Oral Quercetin Supplementation Improves Post-exercise Insulin Sensitivity, Antioxidant Capacity and Enhances Subsequent Cycling Time to Exhaustion in Healthy Adults: A Pilot Study

要旨:
12名の健康な男子学生を対象とする、ケルセチンの摂取と運動に伴う酸化ストレスとの関連を検証した、臨床研究。試験デザインは、無作為化・単盲検・プラセボ対照・クロスオーバーである。被験者はケルセチン1000 mg/dayもしくはプラセボを7日間摂取し、試験を実施した。その後14日間のウォッシュアウト期間を設け、摂取対象を入換えてクロスオーバーとした。試験食の摂取順序は、ランダムとした。試験は、1) 最大酸素摂取量の70%強度でサイクリングを60分間、2) 3時間の安静と1時間毎の採血、3) 最大酸素摂取量の75%強度でサイクリングを行い、その持続時間の測定、4) 24時間の安静と採血から成る。1)のサイクリング終了直後に経口グルコース負荷試験を行い、血中インスリン値はケルセチン群が有意に減少したが(P<0.05)、血糖値には群間差が見られなかった。血中の総抗酸化能とSOD活性は、1)~4)の期間で一貫してケルセチンの有意性を示し(P<0.05)、1)および3)の運動直後のマロンジアルデヒドの減少もケルセチン群で顕著だった(P<0.05)。マロンジアルデヒドとは違い、IL-6は3)の運動直後のみ、ケルセチンが有意に減少した(P<0.05)。また、呼吸交換率・TNF-α・ミオグロビン・C反応性蛋白質に関しては、1)~4)の期間で一貫して群間差が見られなかった。3)の最大酸素摂取量の75%強度でのサイクリングの持続時間は、ケルセチン群が37.29±5.20分間、プラセボ群が30.72±2.16分間であり、有意なケルセチンの延長効果を示した(P<0.05)。