ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

老化細胞のアキレス腱: トランスクリプトーム解析から老化細胞除去剤まで

The Achilles’ heel of senescent cells: from transcriptome to senolytic drugs

要旨:
Vitro: トランスクリプトーム解析により、老化細胞における生存促進ネットワークを発見した。このネットワークの主要部の発現をsiRNAで阻害すると、老化細胞は死滅したが、増殖または静止状態の分化細胞は死滅しなかった。同じ因子を標的とする薬物として、ダサチニブは老化したヒト由来脂肪前駆細胞を排除し、ケルセチンは老化したヒト内皮細胞とマウス骨髄由来間葉系幹細胞に対して効果的であった。両者を組合せると、老化したマウス胎児線維芽細胞を効果的に排除した。Vivo: ケルセチンとダサチニブとの組合せは、自然に老化したマウス・放射線に暴露したマウス・早老症のモデルマウスの全てにおいて、老化細胞の負担を軽減した。老齢マウスでは、単回投与の5日後に心機能と頸動脈血管反応性が改善した。早老症マウスに組合せを投与すると、健康寿命を延ばし、加齢に伴う骨粗鬆症と椎間板プロテオグリカンの喪失を遅らせた。