ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

分子ドッキングによる、ゲニステインとケルセチンのTMPRSS2に対する阻害効果の解明: SARS-COV-2の宿主細胞への侵入を促進するスパイク蛋白質

Molecular docking analysis reveals the functional inhibitory effect of Genistein and Quercetin on TMPRSS2: SARS-COV-2 cell entry facilitator spike protein

要旨:
II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)はヒトの体内に存在するが、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の表面蛋白質を分解して宿主細胞への侵入をアシストする、いわば内なる敵である。アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)はSARS-CoV-2の宿主受容体であり、ケルセチンがその働きを阻害することが知られている。しかし、本質的なケルセチンの作用はTMPRSS2の阻害であり、ACE2の阻害はその結果起こる産物との考えが最近提唱された。そこで、分子ドッキングによりケルセチンのTMPRSS2への親和性を計算した。その結果、ケルセチンはTMPRSS2の親水性の触媒部位と3か所の水素結合で相互作用し、−7.8 kcal/molの結合親和性を示し、仮説を裏付けた。