ネットワーク薬理学・マイクロアレイデータ解析・分子ドッキングによる、糖尿病性腎症の軽減の根底にある、ケルセチンが糸球体上皮細胞を保護するメカニズムの解明
Investigating the Molecular Mechanism of Quercetin Protecting against Podocyte Injury to Attenuate Diabetic Nephropathy through Network Pharmacology, MicroarrayData Analysis, and Molecular Docking
- 出典:
- Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine
- 2022
- 2022
- 7291434
- DOI:
- 10.1155/2022/7291434
- 要旨:
- ケルセチンは糸球体上皮細胞を保護して、糖尿病性腎症の腎機能を改善することが動物実験で示されているが、今回はその根底にあるメカニズムを解明した。ケルセチンの標的・糖尿病性腎症・糸球体上皮細胞に共通する遺伝子を各種データベースより明らかにして、標的の候補をリスト化した。これらの蛋白質間相互作用に基づいて、ケルセチンの主要標的をTNF・VEGFA・AKT1の3種に特定し、AGE(終末糖化産物)-AGE受容体シグナル伝達経路との関連も明らかにした。分子ドッキングの結果、3種の蛋白質ともにケルセチンとの高い親和性を確認した。結論としてケルセチンの作用機序は、1) TNFの炎症性サイトカインの下方調節、2) VEGFが誘発する血管透過性の低下、3) AKT1のリン酸化で刺激するアポトーシスの阻害、4) AGE-AGE受容体シグナル伝達の阻害に基づく酸化ストレスの抑制。