老化を介するケルセチンの抗癌効果
Senescence-mediated anticancer effects of quercetin
- 出典:
- Nutrition Research
- 2022
- 104
- 82-90
- DOI:
- 10.1016/j.nutres.2022.04.007
- 要旨:
- ケルセチンの癌細胞への作用を、アポトーシスの促進と増殖抑制に絞り、細胞老化の観点から整理した総説。根底にある考えは、ケルセチンで癌細胞を老化させ、癌細胞にアポトーシスを誘導して増殖を抑制する点にある。前半では、細胞老化の要因に、酸化ストレス・DNA損傷・テロメアの縮小・癌遺伝子の活性化を挙げ、p21・p53・p16のいずれかの蛋白質の発現を上昇し、細胞老化に関連する蛋白質の発現となるシグナル伝達が開始する。この3因子の内、p21とp16の発現をケルセチンが促進することを述べ、そのメカニズムを論じる。後半では、ケルセチンが該当する作用機序で抗癌効果を発揮したvirto実験の論文6件と、vivo実験の2件を例示した。