ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

脂質を基盤とするナノ製剤で経口送達されたルチンは、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)を阻害して強力な抗血栓効果を発揮する

Orally delivered rutin in lipid-based nano-formulation exerts strong antithrombotic effects by protein disulfide isomerase inhibition

要旨:
ルチンのプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)阻害作用は、血栓症治療薬として期待される。しかし、ルチンの水溶性とバイオアベイラビリティの低さが、克服すべき問題点である。そこで、ルチンのナトリウム塩(NaR)と脂質を基盤とするルチンのナノ製剤(NanoR)を候補として、両者の比較検討を行った。ラットの薬物動態を測定した結果、NanoRの最大血中濃度(Cmax)は9.48±1.14 μMであり、NaRの4.20±1.13 μMと比べて著しく高かった。また、NanoRの0~4時間における血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、NaRの2.24倍であった。マウスの血漿を用いるex vivo実験にて、両者ともトロンビンの生成と血餅の形成を阻害したが、NanoRのNaRに対する有意性も併せて示した。なお、外因性の組換えPDIの存在下では、NanoR・NaRともに抗血栓作用が打消され、根底にPDI阻害作用がある。