ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ケルセチンはSmad3依存性G1細胞周期の停止をブロックして、SARS-CoV-2N蛋白質が誘発した急性腎障害を阻害する

Treatment with Quercetin inhibits SARS-CoV-2 N protein-induced acute kidney injury by blocking Smad3-dependent G1 cell cycle arrest

要旨:
COVID-19はしばしば、急性腎障害を伴う。腎組織特異的に過剰発現するSARS-CoV-2N遺伝子は、8週齢の糖尿病モデルマウスに、急性腎障害を誘発した。すなわち、尿細管が壊死し、血中のクレアチニンと血清尿素窒素が大幅に上昇した。しかし、ケルセチンの投与は、急性腎障害の症状を改善した。ケルセチンはSARS-CoV-2N蛋白質に結合して、同蛋白質によるSmad3シグナル伝達の活性化を抑制した。なお、Smad3シグナル伝達は、G1周期を停止して細胞死を誘導することが知られており、急性腎障害の主原因と考えられる。