ケルセチンが乳癌をパクリタキセルに再感作させるメカニズム: ネットワーク薬理学・分子ドッキング・実験による検証
Exploring the mechanism by which quercetin re-sensitizes breast cancer to paclitaxel: network pharmacology, molecular docking, and experimental verification
- 出典:
- Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology
- 2023
- 396
- 3045–3059
- DOI:
- 10.1007/s00210-023-02510-9
- 要旨:
- パクリタキセル耐性を獲得した乳癌細胞にケルセチンを作用すると、再びパクリタキセルが効くようになる再感作機能が知られているが、そのメカニズムを初めて明らかにした。各種データベースにより、ケルセチンが標的とする遺伝子220種と、パクリタキセル耐性乳癌細胞の遺伝子244種とに共通する66種の遺伝子を特定した。66種の遺伝子に関連する蛋白質間相互作用ネットワークを構築し、京都遺伝子ゲノム百科事典(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes, KEGG)と遺伝子オントロジーを解析した結果、EGFR/ERKシグナル伝達経路が標的であると結論した。分子ドッキングは、ケルセチンとパクリタキセルの両方がEGFR/ERKと安定に結合することを示した。In vitro実験にて、ケルセチンはEGFR/ERK軸の主要な標的を阻害し、パクリタキセル耐性乳癌細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを促進した。