ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ACE2/Ang1-7シグナル伝達による血管の正常化と抗炎症作用による虚血性脳卒中を治療する、3か所の標的に送達可能な、ルチンを基盤とする自己組織化ベクター

A Triple-Targeted Rutin-Based Self-Assembled Delivery Vector for Treating Ischemic Stroke by Vascular Normalization and Anti-Inflammation via ACE2/Ang1-7 Signaling

要旨:
ルチンの7位のフェノールとヒアルロン酸のカルボン酸部分とをエステル縮合し、残ったカルボン酸に、SS31(血液脳関門を通過して中枢のミトコンドリアに作用するペプチド)のリジン残基とアミド結合して、ルチン-ヒアルロン酸-SS31結合体を得た。得られた結合体のルチン-ヒアルロン酸は親水性でSS31が疎水性のため、自己組織化して安定なミセルを形成した。SS31は中枢ミトコンドリアを認識し、ヒアルロン酸はCD44とヒアルロニダーゼ-1を認識するため、結合体は3種類の異った標的へルチンを送達できる。放出されたルチンは、細胞膜上のACE2受容体に高い親和性を持ち、ACE2/Ang1-7シグナル伝達を直接活性化した。中大脳動脈閉塞ラットモデルに結合体を投与すると、用量依存的に梗塞部分の面積を縮小し、神経機能の指標であるmNSS(modified neurological severity score)を改善した。