ケルセチンとクリシンはA549細胞のTLR4/NF-κBシグナル伝達を下方調節して、ニッケルが誘発した浸潤と遊走を阻害する
Quercetin and chrysin inhibit nickel-induced invasion and migration by downregulation of TLR4/NF-κB signaling in A549 cells
- 出典:
- Chemico-Biological Interactions
- 2023
- 292
- 101-109
- DOI:
- 10.1016/j.cbi.2018.07.010
- 要旨:
- ヒト由来肺癌細胞株H1975およびA549にニッケルを作用すると、浸潤と遊走を促進した。5 μMの濃度でケルセチン・クリシン・クルクミン・アピゲニン・ルテオリンを作用すると、これらを抑制した他、炎症サイトカイン(IL-1β・IL-6・TNF-α・IL-10)の分泌も阻害した。5化合物の中でケルセチンが最も強い活性を示し、その次がクリシンであり、以降はケルセチンとクリシンを用いて実験を進めた。ケルセチンとクリシンはTLR4とMyd88の発現を低減し、IKKβとIκBのリン酸化を抑制して、NF-κBの核移行を阻害した。従って、TLR4/NF-κBシグナル伝達を遮断して、ニッケルによるH1975とA549の浸潤と遊走を抑制したことになる。