イソラムネチンと抗PD-L1抗体の二重機能性メソポーラスシリカナノ粒子は、腫瘍の免疫微小環境を改善して、YY1による腫瘍の進行を阻害する
Isorhamnetin and anti-PD-L1 antibody dual-functional mesoporous silica nanoparticles improve tumor immune microenvironment and inhibit YY1-mediated tumor progression
- 出典:
- Journal of Nanobiotechnology
- 2023
- 21
- 208
- DOI:
- 10.1186/s12951-023-01967-3
- 要旨:
- 核転写因子の陰陽1(YY1)は、脱ユビキチン化酵素のUSP7と特異的に結合する。両者の結合によって、ユビキチン経路によるYY1の分解が阻害されるため、YY1の発現が安定して、肝細胞癌細胞の増殖・遊走・上皮間葉転換を促進する。YY1に拮抗してUSP7に結合する化合物を分子ドッキングで探索した結果、イソラムネチンが最も親和性が高かった。肝細胞癌細胞を移植したモデルマウスに、イソラムネチンと抗PD-L1抗体を含むメソポーラスシリカナノ粒子を投与した。その結果、フリーのイソラムネチンの単独投与時や、抗PD-L1抗体による単独治療時と比べて、腫瘍組織の成長を顕著に阻害した。ナノ粒子はまた、腫瘍微小環境における骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)を減少して、T細胞の腫瘍組織への浸潤を促進した。