ネットワーク薬理学と臨床検証で明らかにした、統合失調症の治療における柴胡の有効成分
Active components of Bupleuri Radix in the treatment of schizophrenia analyzed by network pharmacology and clinical verification
- 出典:
- Traditional Medicine Research
- 2023
- 8
- 62
- DOI:
- 10.53388/TMR20230520001
- 要旨:
- 統合失調症の患者67名を対象とする、既存薬オランザピンによる治療に柴胡の追加の妥当性を検証した臨床研究。被験者をランダムに2群に分け、35名はオランザピン単独治療群として10 mg/dayを服用した。残る32名はオランザピン10 mg/dayに加えて柴胡微粉末22 g/dayを追加投与した。21日間の治療期間を経て、統合失調症の陽性症状および陰性症状を検査した。その結果、評価項目全てがベースラインから有意に減少したが、両群を比較すると追加治療群の減少が有意であった(P<0.01)。また、末梢血中のESR1のmRNA発現は追加治療群が有意に減少し(P<0.01)、mTOR・EIF4E・SMAD4のmRNA発現は追加治療群が有意に増加した(P<0.01)。別途実施したネットワーク薬理学研究にて、これら4遺伝子が統合失調症における柴胡の標的に特定した。柴胡の成分の内ケルセチンは4標的全てに作用し、イソラムネチン・ケンフェロール・スチグマステロールはESR1に作用する。