ケルセチンが心筋梗塞患者に及ぼす影響: 多施設・無作為化・オープンラベルのパイロット研究
Impact of quercetin in patients with myocardial infarction. A multicenter, randomized, open label pilot study
- 出典:
- Hellenic Journal of Cardiology
- 2024
- 76
- 68-74
- DOI:
- 10.1016/j.hjc.2023.08.004
- 要旨:
- 心電図でST上昇と診断された心筋梗塞患者143名を対象にケルセチン処置の効果を検証した、オープンラベル臨床研究。ランダムに2群に分け、73名は通常の治療(再灌流)のみを施す対照群とした。残る70名はケルセチン500 mgを含む点滴の後に、再灌流による通常の治療を行った、治療の実施頻度は以下の通り。入院当日: 直後に最初の治療、2時間後に2度目の治療、12時間後に3度目の治療。2および3日目: 12時間おきに1日2回。4および5日目: 1日1回。心筋梗塞の指標である血中のクレアチンキナーゼMBをモニタした結果、ケルセチン処置追加群の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、対照群と比べて18%減少した(P<0.015)。磁気共鳴画像による心組織の診断の結果、3日目の梗塞中心部の出血は、ケルセチン群が11%で対照群が54%であった(P=0.024)。また、左室駆出率と左室リモデリングの指標には、両群間で差を認めなかった。