ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

近赤外光による低温光温熱療法とグルタチオンの活性化による化学力学療法を相乗的に行う、自己集合性ケルセチン-3価鉄ナノ粒子

Self-assembled quercetin-Fe3+ nanoparticles for synergetic near-infrared light-triggered low-temperature photothermal/glutathione-activated chemodynamic therapy

要旨:
新たに調製したケルセチンを担持した3価鉄ナノ粒子は近赤外域まで広い吸収範囲を有しているが、癌細胞に作用すると部分的にケルセチンを放出し、熱ショック蛋白質70を下方調節した。その結果、低温下の光温熱療法を可能にした。ケルセチンはまた、癌細胞で過剰発現したGSHを枯渇する化学力学療法を行うが、光温熱療法で発生する熱が化学力学療法のフェントン反応を加速する相乗効果を生み出した。乳癌細胞株4T1を移植したマウスモデルに、ケルセチン-3価鉄ナノ粒子を投与してレーザー光を照射すると、腫瘍組織の成長を著しく阻害した。