ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

TGF-β 受容体とケルセチンとのシミュレーションから、タマネギを含む医療機器の臨床的洞察まで: 手術後の瘢痕に対する有効性と忍容性

From In Silico Simulation between TGF-β Receptors and Quercetin to Clinical Insight of a Medical Device Containing Allium cepa: Its Efficacy and Tolerability on Post-Surgical Scars

要旨:
18~70歳の手術後の被験者64名を対象とする、瘢痕(傷跡)の減少効果を比較した臨床研究。ランダムに2群に分け、30名はシリコンゲルによる標準的な処置を行った(A群)。残る34名は、5%のタマネギ抽出物と5%のヒアルロン酸を含むプルランゲルによる処置を行った(B群)。処置期間は12週間とし、4週間毎に瘢痕の検査を実施した。その結果、4週間目および8週間目におけるバンクーバー瘢痕尺度(Vancouver scar scale)・マンチェスター瘢痕尺度(Manchester scar scale)・POSAS(patient and observer scar assessment scale)の各スコアは、A群に比べてB群の有意な(P<0.05)軽減を認めた。また、痒みと赤さもB群が有意に(P<0.05)改善した。しかし12週間目には、全ての評価項目において、両群の差がなくなった。また、線維芽細胞の増殖と収縮を阻害するTGF-β/Smadシグナル伝達に着目して、タマネギ抽出物の主成分であるケルセチンのTGF-βとの親和性を分子ドッキングで検証した。ケルセチンの結合エネルギーは-10.7 kcal/molであり、既存阻害剤の-11.4~-9.3 kcal/molと同等であった。