ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ケルセチンとロイシンとの組合せは、複数のメカニズムによりシスプラチンに起因するマウスの筋萎縮を軽減し、握力を相乗的に向上する

The combination of quercetin and leucine synergistically improves grip strength by attenuating muscle atrophy by multiple mechanisms in mice exposed to cisplatin

要旨:
シスプラチンを用いる癌治療では、副作用として筋萎縮がしばしば問題視される。シスプラチンで惹起した筋萎縮のモデルマウスに、ケルセチン単独、ロイシン単独、両者の組合せをそれぞれ投与した。いずれもマウスの握力・筋肉量・筋線維のサイズ・筋組織中のミオシンの発現量を改善したが、組合せは単独処置群に比べて顕著な効果を示し、相乗効果を発揮した。組合せは、筋蛋白質の分解に関与するAkt/FoxO1/atrogin-1/MuRF1シグナル伝達を抑制し、筋蛋白質の生成に関与するmTORおよびE2F-1シグナル伝達は活性化した。腫瘍移植マウスモデルにて組合せは、シスプラチンの抗癌作用を損なわなかった。むしろ、シスプラチンの単得投与時に比べて、シスプラチン・ケルセチン・ロイシンの3剤投与時の方が、腫瘍組織はより縮小した。