ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

うつ病の治療における、BDNF-ケルセチンアルギン酸ナノゲルによる抗うつ効果の増強

Enhanced antidepressant effects of BDNF-quercetin alginate nanogels for depression therapy

要旨:
脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor, BDNF)によるニューロンの発達は、うつ病の治療に有効である。しかし、BDNFは巨大蛋白質ゆえ血液脳関門(blood–brain barrier, BBB)を通過できず、また体内で容易に酸化されるため、摂取による補給が困難である。そこで、ケルセチン‐アルギン酸系ナノゲルに担持して、BBBのバイパスである経鼻送達を考案した。その結果、BDNFの持続な放出を達成して、迅速な脳分布を示した。また、ケルセチンのバイオアベイラビリティは、フリーのケルセチンの経口投与時の50倍に向上した。レセルピンで惹起したラットにナノ製剤を経鼻投与すると、BDNFの効率的な送達がうつ行動を逆転させた。