ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

マウスの腸内細菌叢-血液-脳軸の変化を伴う、α-グリコシルイソケルシトリンの記憶に対する有望な効果

Potential Effects of Alpha-Glycosyl Isoquercitrin on Memory by Altering the Gut Microbiota-Blood–Brain Axis in Mice

要旨:
α-グリコシルイソケルシトリンを投与したマウスは、受動回避試験にて学習と記憶の向上を認め、海馬における抗酸化酵素の遺伝子発現を上方調節した。腸内細菌叢においては、Akkermansia属とBifidobacterium属(ビフィズス菌)の相対比を上昇し、Alistipes属の相対比は減少した。メタボロミクス解析の結果、α-グリコシルイソケルシトリンの投与は、血中および海馬中のタウリンの濃度を大幅に上昇した。同時に、血中のタウリン量と腸内のAkkermansia属の存在量が相関した(r=0.57)。バンコマイシンで腸内細菌叢が変化したマウスでは、α-グリコシルイソケルシトリンによる血中タウリンおよび海馬中抗酸化酵素の増加が弱められ、記憶機能の改善も認めなかった。よって、記憶機能の改善は、腸内細菌叢-血液-脳軸にα-グリコシルイソケルシトリンが作用した結果である。