ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ケルセチンによるG6PDの阻害は、T790M変異したEGFRの分解を促進する

Inhibiting G6PD by quercetin promotes degradation of EGFR T790M mutation

要旨:
EGFRにおけるT790M変異(790番目のアミノ酸がトレオニンからメチオニンに変異すること)は、非小細胞肺癌の治療薬であるゲフィチニブに耐性をもたらす。ケルセチンはグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)に直接結合し、触媒ドメインにおけるNADP+の結合を競合的に無効にして、G6PD活性を阻害した。その結果、細胞内のNADPHが減少し、NADPHを基質とするメチオニンスルホキシド還元酵素A(MsrA)の活性も低下した。MsrAが阻害された結果、変異したメチオニン790の酸化が促進され、EGFRの分解を誘導した。また、ケルセチンによる変異獲得の遅延効果も明らかになり、EGFRの分解と併せて、ゲフィチニブによる非小細胞肺癌の治療効果を相乗的に高めた。