ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

第二近赤外光(NIR-II)領域に吸収を持つクロコン酸ジュロリジンとケルセチン-鉄錯体により、中咽頭癌の効果的な光温熱療法を実現する

Succinct NIR-II absorbed croconic acid-julolidine molecule uniting Fe(III)-quercetin complex for efficient mild photothermal therapy of oropharyngeal carcinoma

要旨:
第二近赤外領域(NIR-II, 900–1700 nm)に吸収を有する分子として、ジュロリジンのクロコン酸塩を見出した。このクロコン酸ジュロリジンとケルセチン-鉄錯体とをリン脂質で封じ込めて、ナノ製剤を設計した。得られたナノ製剤に980 nmの近赤外光を照射すると、ケルセチンを放出した。放出されたケルセチンは中咽頭癌細胞にてHSP70の発現を抑制し、放出された鉄はフェロトーシスを誘導した。よって、近赤外光を用いた、体に負担がない中咽頭癌の光温熱療法の実現可能性を示唆した。