血栓症における血管チオールイソメラーゼ: その光と影
Vascular thiol isomerases in thrombosis: The yin and yang
- 著作名:
- Yi Wu
- David W. Essex
- 出典:
- Journal of Thrombosis and Haemostasis
- 2020
- 18
- 2790-2800
- DOI:
- 10.1111/jth.15019
- 要旨:
- PDIファミリーにはPDI・ERp57・ERp72・ERp5の4種類の酵素があり、互いに独立して、血小板の蓄積と凝固を支えている。最近、PDIファミリーに属する膜透過型のTMX1が発見され、血小板の機能と血栓を阻害作用、すなわち従来のPDIファミリーとは反対の生理活性を有することが報告された。従って、PDIファミリーの働きは、止血にプラスにもマイナスにも作用し、止血因子をオン/オフにする要素と見なせる。その一方で、PDI阻害剤イソケルセチンが凝固マーカーを減少させ、血栓形成のリスクを低減することが、臨床で実証された。本総説では、最新の発見として、血栓促進性のTMX1の働きについて論じる。