ラット背部の島状皮弁の生存率に与える影響: 遅延現象とケルセチン適用との比較実験
Comparison of the Effect of Delay Phenomenon and Quercetin Application on the Viability of Dorsal Skin Island Flaps in Rats An Experimental Study
- 出典:
- Annals of Plastic Surgery
- 2025
- 94
- in press
- DOI:
- 10.1097/SAP.0000000000004172
- 要旨:
- 外科的遅延とは皮弁挙上の7~14日前に行われる介入であり、皮弁の一部を血管床から分離して、皮弁壊死の減少を目的とする。ラットの深腸骨回旋動脈における皮弁挙上の術前7日にて、1) 対照として処置なし、2) 外科的遅延、3) ケルセチン投与、4) 外科的遅延とケルセチン投与の併用を比較した。その結果、3)および4)の皮弁壊死率・炎症・表皮損傷・真皮線維症スコアは、1)および2)よりも顕著に低かった(P<0.05)。血管内腔径は1)よりも2)~4)が高かったが(P<0.05)、2)~4)間に差を認めなかった。よって、皮弁挙上の前処置として、血管拡張の点では外科的遅延とケルセチンの両方が有効であり、皮弁壊死率と炎症の低減に関してはケルセチンの方が有意であった。