膵癌の治療におけるケルセチンの役割: STAT3/CPT1B経路を介する脂質代謝の調節と、化学療法の促進
The Role of Quercetin in Modulating Lipid Metabolism and Enhancing Chemotherapy via the STAT3-CPT1B Pathway in Pancreatic Cancer
- 出典:
- Biochemical and Biophysical Research Communications
- 2025
- 772
- 152033
- DOI:
- 10.1016/j.bbrc.2025.152033
- 要旨:
- 膵癌細胞株PANC-1におけるSTAT3の過剰発現とサイレシングはそれぞれ、CPT1B(脂肪酸をミトコンドリアに送り、脂質代謝とエネルギー代謝を促進する蛋白質)の発現を上昇および低減した。PANC-1にケルセチンを投与すると、STAT3とCPT1Bの両方を阻害して、同細胞の増殖を抑制した。同様の抗癌作用はゲムシタビンにも見られたが、両者の組合せは単独投与時を上回った。よって、組合せによるSTAT3/CPT1B軸の阻害が、PANC-1における脂質代謝を抑制する抗癌作用を提唱した。