ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ケルセチンはグリシンアミドリボヌクレオチドトランスホルミラーゼと相互作用して、エタノールが誘発した肝細胞の老化を軽減する

Quercetin alleviates ethanol-induced hepatocyte senescence by interacting with glycinamide ribonucleotide transformylase

要旨:
エタノールで惹起した肝障害のモデルマウスにケルセチンを投与すると、血中の中性脂肪とASTが低下し、肝組織の脂肪の蓄積が減少した。トランスクリプトーム解析とメタボロミクス解析を併用した結果、ケルセチンはプリン代謝経路を活性化し、最も低減した代謝物はプリンの中間体である5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミド-1-β-D-リボフラノキシド(AICAR)であった。肝細胞にAICARを作用すると、ケルセチンの保護効果を打消した。すなわち、AICARは肝細胞における細胞老化随伴分泌現象を増加して、老化を誘発した。AICARの合成にはグリシンアミドリボヌクレオチドトランスホルミラーゼが寄与するが、ケルセチンは同酵素に結合してAICARの産出を阻害した。