ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ケルセチンは、新型コロナウィルス肺炎の重症患者の治療を補助する: ランダム化対照群間比較オープンラベル試験

出典: European Journal of Pharmacology 2022, 914, 174615

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0014299921007718

著者: Mojtaba Shohan, Roohangiz Nashibi, Mohammad-Reza Mahmoudian-Sani, Farhad Abolnezhadian, Mehri Ghafourian, Seyed Mohammad Alavi, Asaad Sharhani, Ali Khodadadi

 

概要: 60名のCOVID-19の重症患者を対象とする、抗ウィルス薬に加えてケルセチンを追加した際の、治療の補助効果を検証した臨床研究です。この研究は、2020年12月~2021年1月にかけて、イランの病院で行われました。ここで言う「重症」とは、在宅療養では対応しきれず、入院を要する病状を意味します。

被験者をランダムに2群に分け、30名は標準の治療として、レムデシビルという薬を毎日1週間継続して注射しました。ちなみに、この抗ウィルス薬はエボラ出血熱の治療薬でしたが、2020年5月に特例で新型コロナ肺炎への適用が承認されました。残る30名にはレムデシビルの注射に加えて、ケルセチンを飲んで頂きました。1日1 gのケルセチンを、7日間継続して飲みました。

1週間の投薬期間が終了して、経過観察期間となりました。12日以内に、ケルセチン追加群の30名全員がPCR検査で陰性になり、退院しました。一方、標準治療群では27名が退院して、3名の死亡者が出ました。また、投薬終了から退院までに要した日数は、ケルセチン追加群が平均3.13日で、標準治療群は4.63日でした。

投薬終了時に見られた咳・呼吸困難・胸痛・頭痛・発熱・鼻水・下痢・吐気の各症状は、両群間で差はありませんでした。しかし、弱気・無気力を訴た患者さんは、ケルセチン追加群で30名中13名、標準治療群では30名中22名でした。

以上、ケルセチンを追加すると、新型コロナウィルス肺炎の重症患者の治療を補助することが実証されました。しかも、入院中にしばしば見られる弱気・無気力を減らすという、おまけも付きました。

キーワード: ケルセチン、レムデシビル、新型コロナウィルス肺炎、治療補助