ケルセチンにはCOPDを予防する可能性を秘める
出典: Antioxidants 2022, 11, 181
https://www.mdpi.com/2076-3921/11/2/181
著者: Natália Pereira da Silva Araújo, Natália Alves de Matos, Michel Oliveira, Ana Beatriz, Farias de Souza, Thalles de Freitas Castro, Pedro Alves Machado-Júnior, Débora Maria Soares de Souza, André Talvani, Sílvia Dantas Cangussú, Rodrigo Cunha Alvim de Menezes, Frank Silva Bezerra
概要: COPDとは、慢性閉塞性肺疾患の別名で、息切れ・咳・痰が長く続く病気です。患者の9割以上が中年以降の喫煙者であり、原因は長年に渡る喫煙です。国連の専門機関である世界保健機関(WHO)が出している世界の死因統計では、COPDは毎年、3~5位あたりに入っています。
このようにCOPDは実に恐ろしい病気ですが、予防する手段は現在のところ、煙草を吸わない対応しかありません。しかし最近の研究で、ケルセチンがCOPDを予防するデータがマウスを使って検証されました。
マウスに煙草を吸わせるのは難しいので、箱の中に閉じ込めて、煙草の煙を充満させて代用しました。1日に12本分の紙巻煙草に相当する煙に晒すことを、60日間継続しました。この時、マウスを6匹ずつ3つのグループに分けて、一つは煙に晒す1時間前にケルセチンを飲ませました。別の6匹はケルセチンを飲まないで煙に晒すため、60日後にはケルセチンの効果を比較できます。第3のグループには、正常なマウスの比較対照として、ケルセチンも飲ませず煙にも晒さない6匹を用意しました。
60日後の1分間当たりの平均呼吸回数は、正常群が163.0回、煙草群が181.8回、ケルセチン+煙草群が163.7回で、ケルセチンによる息切れの防止を示しました。気管支や肺の白血球の相対的な割合は、正常群を1とすると、煙草群が5.2、ケルセチン+煙草群が2.7でした。白血球が増えるのは、炎症に対抗するためであり、煙草が5.2倍になる所をケルセチンが抑えて2.7倍に減らしました。
以上の結果は、ケルセチンはある程度COPDの悪化を抑えますが、禁煙にまさる程の予防法でないことを示しています。
キーワード: COPD、ケルセチン、煙草、マウス、予防