ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

リンゴは果肉だけでなく皮まで食べた方が健康に良い

出典: Molecular Nutrition & Food Research 2018, 62, 1700674

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mnfr.201700674

著者: Nicola P. Bondonno, Catherine P. Bondonno, Lauren C. Blekkenhorst, Michael J. Considine, Ghassan Maghzal, Roland Stocker, Richard J. Woodman, et al

 

概要: リンゴには、ケルセチンを始めとするフラボノイドが豊富に含まれていることが知られています。「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」という西洋のことわざがあるとおり、フラボノイドが健康を保つ秘訣と言えます。今回の研究では、リンゴ由来のフラボノイドの摂取が、血管の最内側にある血管内皮の機能を改善して、動脈硬化を予防することが検証されました。

メタボリックシンドロームの因子(高血圧・血糖値が高め・コレステロール値が高め・肥満)を少なくとも1つ持つ被検者30名を対象とする研究です。無作為に2群に分け、片方は1日2回リンゴを皮ごと摂取し、もう片方は果肉のみ食べました。実はフラボノイドが多く含まれる部分は、果肉よりも皮です。皮ごと摂取する目的は、ケルセチン配糖体を195 mg/day、エピカテキンを48.0 mg/dayの摂取量に調節するためです。一方、果肉だけではケルセチン配糖体を12.5 mg/day、エピカテキンは25.2 mg/dayとなり、フラボノイドの摂取量を比較するために摂取内容に差をつけています。

4週間の摂取期間の終了後に、血流依存性血管拡張反応と呼ばれる検査をしました。腕がしびれる位強い締め付けを5分間行った後、ゆるめて血液の流れを再開します。血管内皮機能が正常であれば、一酸化窒素(NO)を放出して、血管を拡張します。血流依存性血管拡張反応では、締め付けの前後の血管の太さを超音波で測定して、血管の拡張をもって内皮機能を調べます。内皮機能が低下すると、血管のしなやかさが失われる訳ですから、動脈硬化や脳梗塞の危険信号を意味します。

リンゴを皮ごと食べてフラボノイドを多く摂取した結果、果肉だけのグループに比べて、血流依存性血管拡張反応が0.8%改善されました。このデータを統計的に解釈すると、フラボノイドの効果がある確率は99.9%、効果なしとする確率が0.1%となります。

従って、リンゴによる健康の維持には、果肉だけでなく皮まで食べた方が効果的です。

キーワード: リンゴ、代謝、フラボノイド、血管内皮機能、血流依存性血管拡張反応