ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ケルセチンの摂取は、花粉症に伴う鼻の不快感や目のかゆみを低減する

出典: European Review for Medical and Pharmacological Sciences 2022, 26, 4331-4345

https://www.europeanreview.org/article/29072

著者: S. Yamada, M. Shirai, Y. Inaba, T. Takara

 

概要: 今や日本人の3人に1人が程度の差こそあれ花粉症と言われ、もはや花粉症は国民病と言って過言ではありません。今回の研究では、軽症の花粉症患者がケルセチンを摂取すると、鼻の不快感や目のかゆみを軽減することが実証されました。

花粉に対して鼻炎や目のかゆみを訴える、22-78歳の健常者または軽症者66名を対象としました。無作為に2群に分け、片方の33名は、ケルセチン100 mgを含むカプセルを朝夕の食事時に1日2回摂取しました。また、残りの33名はケルセチンを含まないカプセルを摂取して、比較対照としました。花粉が多く飛散する2月下旬から4月上旬にかけての4週間を摂取期間として、その前後における各症状の変化を検査しました。

検査は生活の質に関するアンケートで行いました。日本アレルギー性鼻炎標準調査表作成委員会が整備したもので、精神集中不良・新聞や読書の支障・外出の支障・人とのつき合いの支障・睡眠障害・倦怠感などの計17項目に対して、なし・軽い・ややひどい・ひどい・非常にひどいの、いずれかに回答します。症状なしを0、非常に思いを4として、0~4のスコアを各項目ごとにつけます。

全ての項目で「非常にひどい」を回答すると、合計スコアは68となりますが、健常者と軽症者が対象ですので摂取前の平均合計スコアは34.7でした。摂取後は、ケルセチン群が19.1、比較対照群が26.3と群間で有意差を認めました。

各項目別に見ると、ケルセチンが優れた改善を示したのは、くしゃみ・水っぱな・日常生活の乱れでした。特筆すべきは、目のかゆみの改善です。摂取期間の1週間が経過した時点で既に、ケルセチン群と比較対照群とで顕著な差がついていました。

花粉症で鼻の不快感や目のかゆみに悩まされる方は、花粉が飛ぶ時期に、ケルセチンを多く含む食事をしましょう。玉ねぎ・りんご・緑茶をふんだんに摂ることをお勧めします。

キーワード: ケルセチン、花粉症、生活の質、鼻の不快感、目のかゆみ