ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ケルセチンを含むサプリの摂取は、新型コロナウィルスの陰性化を加速する

出典: Frontiers in Pharmacology 2022, 13, 898062

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2022.898062/full

著者: Amjad Khan, Somia Iqtadar, Sami Ullah Mumtaz, Michael Heinrich, Domingo A. Pascual-Figal, Shona Livingstone, Sajid Abaidullah

 

概要: 本研究は、パキスタンの大学病院で行われた、軽度~中程度の新型コロナウィルス肺炎(COVID-19)患者を対象とする臨床研究です。通常の治療に、ケルセチンを含むサプリメントの摂取を追加すると、PCR検査における陰性化を加速し、血中の炎症を改善することが実証されました。

被験者50名をランダムに2群に分け、25名は通常の治療を行った上で、ケルセチンが260 mg入ったサプリカプセル(他に、クルクミン168 mgとビタミンD3 9 μgを含む)を1日2回飲んで、毎日520 mgのケルセチンを摂取しました。残る25名は通常の治療のみを行い、比較対照群としました。通常の治療とは、アセトアミノフェンという解熱鎮痛薬(余談ながら、コロナワクチン接種時の副反応で発熱した時にも、この薬が処方されます)を基本とし、必要に応じてアジスロマイシンという抗生物質の服用を追加しました。

サプリの摂取期間は、当初14日間に設定されていましたが、7日目には効果が現れました。PCR検査の結果、サプリ摂取群の15名(60%)が陰性に転じて、比較対照群の5名(20%)に顕著な差をつけました(P=0.009)。コロナに限らずウィルスに感染すると、発熱や痛みを始めとする炎症が起こりますが、炎症によって血中に現れるC反応性蛋白質という物質があります。いわば、COVID-19の重症度が簡単に分かる指標です。治療開始時点における血中C反応性蛋白質の濃度は、サプリ摂取群が34 mg/dLで、比較対照群は36 mg/dLと、両者には差がありませんでした。しかし7日目には、サプリ摂取群が11 mg/dLで、比較対照群は22 mg/dLと、大幅な差を認めました(P=0.009)。

サプリ摂取の追加は、陰性化を加速しただけでなく、炎症の緩和にも大いに貢献できました。

キーワード: 新型コロナウィルス肺炎、ケルセチン、サプリメント、補助療法、PCR検査、C反応性蛋白質