ケルセチンサプリは、イネ花粉を原因とする喘息と鼻炎の症状を軽減する
出典: Journal of Biological Research 2023, 96, 11146
https://www.pagepressjournals.org/index.php/jbr/article/view/11146
著者: Maurizio Marogna, Giorgio Ciprandi
概要: 90名のイネ花粉をアレルゲン(アレルギーの原因)とする喘息と鼻炎を併発した患者が対象の臨床研究です。通常の治療にケルセチンサプリの摂取を追加した際の、補完的な効果を検証しました。イタリアのアレルギー専門病院(ミラノ市郊外とジェノバ市の2拠点)で行われました。
イネ花粉アレルギーで、喘息と鼻炎を併発(いずれも軽度)した13~59歳の患者90名を、ランダムに2群に分けました。片方の45名は標準療法を行いました。すなわち、喘息には気管支拡張剤の吸入を行い、鼻炎には抗アレルギー剤の点鼻を施して、比較対照群としました。一方の45名には、標準療法に加えて、ケルセチンサプリの摂取が追加されます。用いられたサプリ製剤はイタリアで流通しているQuertalで、1錠中にケルセチン150 mg・えごま抽出物80 mg・ビタミンD 5 μgを含んでいます。このQuertalを1日2錠摂取しました。なお、治療期間はイネ花粉症シーズン前の4~6月の3ヶ月間として、その後の症状を比較しました。
結果ですが、喘息と鼻炎の両方とも、ケルセチンサプリ追加群が標準療法のみの比較対照群と比べて、有意な改善効果を示しました。
出来る限りの空気を吸い込み、勢いよく最後まで吐ききる検査を行います。この時の吐き出した空気量を努力肺活量と呼ぶますが、最初の1秒間に吐いた量を1秒量と定義します。気管支が狭まっていると、この1秒量が低下することが知られています。1秒量を努力肺活量で割った数値の%表示が、喘息の指標となります。数値が大きい程、努力肺活量を吐き出す時間が短いため、喘息が改善されています。前年は治療を行っていないため、同時期の1秒量/努力肺活量は85~87%でした。比較対照群の平均は94%で、標準治療の効果として前年より改善されています。しかし、ケルセチン追加群は101%で、更なる改善が見られました。喘息の発作で気管支拡張剤の吸入を要する回数は、前年が月当たり14回でした。治療の効果として、比較対照群の月6回、ケルセチン追加群の月3回が記録されました。
鼻炎の指標には、鼻の中の好酸球を評価しました。好酸球とは白血球の一種で、アレルギーが起こると増えることが知られています。従って、鼻の好酸球が多い程、アレルギー性鼻炎が深刻です。前年の好酸球は21%でしたが、比較対照群は19%で、やや改善されました。一方、ケルセチン追加群は12%まで減少して、大幅な改善を認めました。鼻炎の症状がひどく抗アレルギー剤の点鼻を要する回数は、前年が月当たり17回でした。比較対照群は17回で前年と一緒でしたが、ケルセチン追加群は月10回で、ここでも効果の差が歴然としていました。
キーワード: ケルセチンサプリ、イネ花粉、アレルギー、喘息、鼻炎、臨床研究