ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

ビフィズス菌とガセリ菌とを封じたマイクロカプセルにケルセチンを追加して摂取すると、ApcMin/+マウスの大腸癌の進行を阻害する

出典: International Journal of Molecular Sciences 2021, 22, 4906

https://www.mdpi.com/1422-0067/22/9/4906

著者: Iván Benito, Ignacio J. Encío, Fermín I. Milagro, María Alfaro, Ana Martínez-Peñuela, Miguel Barajas, Florencio Marzo

 

概要: ヨーグルトに代表されるような、人間の体に有用な働きをする微生物を、プロバイオティクスと呼びます。

プロバイオティクスが、大腸癌の進行をくい止める働きを示した例として、次のような実験があります。遺伝子操作して癌になりやすい特徴を持たせたApcMin/+マウスを使いますが、この動物は、放置すると大腸癌がドンドン進行します。このマウスに、典型的なプロバイオティクスである、ビフィズス菌とガセリ菌を与えた場合と与えない場合を比較しました。8週間経過した際の、大腸癌発症の指標である異常陰窩巣の数を観察しました。プロバイオティクスを与えないマウスでは、1匹あたり平均17.75個の異常陰窩巣が見られましたが、与えた場合は半減して1匹あたり平均9.75個でした。

プロバイオティクスにケルセチンを加えて、同じ実験をしました。ApcMin/+マウスにビフィズス菌とガセリ菌とケルセチンを、8週間与え続けました。驚くことに、異常陰窩巣はもっと減って、1匹あたり平均7.50個でした。

ケルセチンには、プロバイオティクスが持つ大腸癌の進行を抑制する効果を増強する働きがあることを、この結果が明確に示しています。

キーワード: 大腸癌、プロバイオティクス、ビフィズス菌、ガセリ菌、ケルセチン