ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

後ろ向きコホート研究に見る、ケルセチンによる血中尿酸値の改善

出典: Frontiers in Nutrition 2025, 12, 1519459

https://www.frontiersin.org/journals/nutrition/articles/10.3389/fnut.2025.1519459/full

著者: Francesco Di Pierro, Fazle Rabbani, Meherullah Tareen, Roohi Nigar, Amjad Khan, Nicola Zerbinati, Maria L. Tanda, Massimiliano Cazzaniga, Alexander Bertuccioli, Paolo Falasca, Gabriele Damiani, Nicola Villanova

 

概要: 尿酸とは、食物に含まれるプリン体という成分が肝臓で変化して生じる老廃物です。文字通り、尿酸は尿と一緒に排出される物質です。しかし、肝臓で過剰に尿酸を産出したり、排泄機能(特に腎臓)に異常が生じると、血液中の尿酸が上昇します。この状態が高尿酸血症です。体内に蓄積した尿酸は足の親指の付根を中心に炎症と腫れを起こし、痛風を発症します。風が吹いただけでも痛いと言われるほど、激しい痛みを伴う痛風の原因物質が尿酸です。今回の研究では、イタリアの病院で記録された生活習慣病の患者さんのデータを解析して、ケルセチンの継続的な摂取が血中の尿酸値を下げ、高尿酸血症を軽減することを明らかにしました。

この研究は「後ろ向きコホート研究」という種類に属し、特定の条件を満たすコホート(集団)の診療記録を過去にさかのぼって(後ろ向き)調査しました。条件の異なる3つのコホートを選びました。

第1のコホートは、2021~2022年にかけて、新型コロナ肺炎(COVID-19)の予防サプリが処方された健常者164名です。免疫を増強してCOVID-19を予防する目的で、87名はQuevir®を77名はBactoblisをそれぞれ、90日間摂取しました。Quevir®とはイタリアで流通している、ケルセチンがリン脂質と複合体を形成して吸収しやすく加工されたサプリ製剤です。また、Bactoblisとは免疫力を高める腸内細菌を含むサプリです。摂取の開始前と終了後に、血中尿酸値を含む各種検査を行いました。ケルセチン群の男性39名は尿酸値が6.85 mg/dLから5.80 mg/dLに15.2%低減し、女性48名は5.51 mg/dLから4.75 mg/dLに13.8%低減しました。一方、Bactoblis群の尿酸値は、男女ともに有意な変化がありませんでした。

第2のコホートは、2023年5~9月にかけて、血中尿酸値が7~8 mg/dLで軽度の高尿酸血症と診断された22名です。第1のコホートと同様に、Quevir®を90日間摂取しました。その結果、尿酸値は7.45 mg/dLから6.48 mg/dLに13.1%低減し、正常と高尿酸血症との境界である7 mg/dLを下回りました。

第3のコホートは、2023~2024年にかけて、肥満症と高コレステロール血症と診断された64名です。血中尿酸値で分けると、7 mg/dL以下の正常尿酸値が22名、8 mg/dL以上の中度の高尿酸血症が42名で、第2コホートと同じ軽度の高尿酸血症はゼロでした。中度の高尿酸血症の42名のうち20名は、今までと同様にQuevir®を90日間摂取しました。他の44名には、ベルベリン製剤とモナコリン製剤との併用が処方されました。ケルセチン群の尿酸値は8.33 mg/dLから7.19 mg/dLに13.7%低減し、正常値とのボーダーラインの7 mg/dLまであと一息に迫りました。ベルベリン/モナコリン群は、コレステロールは低減したのものの、尿酸値は変化しませんでした。

以上、ケルセチンは健常者・軽度の高尿酸血症・中度の高尿酸血症の異なる3コホートで血中尿酸値を低減して、高尿酸血症の予防と治療の両方に貢献しました。

キーワード: 高尿酸血症、ケルセチン、Quevir®、後ろ向きコホート研究、血中尿酸値