配糖ルチンの食後血糖値上昇抑制効果: ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験
出典: Functional Foods in Health and Disease 2021, 11, 270–281
https://ffhdj.com/index.php/ffhd/article/view/793
著者: Yushi Hashizume, Mahamadou Tandia
概要: ケルセチンの類似物質の一つに、ルチンがあります。ケルセチンに2個の糖が結合した形です。このルチンを酵素処理すると、さらに糖が増えた配糖ルチンが得られます。ルチンも配糖ルチンも、摂取すると腸で糖部分が切断され、ケルセチンの形で体内に吸収されることが知られています。
この配糖ルチンは食後血糖値の上昇を抑制すると、ヒト試験で検証されました。ちなみに、食後血糖値が高すぎるのは、糖尿病や動脈硬化の危険な兆候です。
平均年齢56.6歳で、空腹時血糖値がやや高め(110~126 mg/dL)の健康な日本人34名を対象とする臨床研究です。被験者をランダムに2群に分け、17名は配糖ルチン200 mgを含む錠剤を飲み、残りの17名は配糖ルチンを含まない錠剤を飲み、比較対照としました。それぞれの錠剤を飲んだ30分後に150 gのご飯を食べ、食後30, 60, 90, 120分に血液検査を行い、血糖値を測定しました。その結果、配糖ルチン群は対照群と比較して、食後血糖値の上昇が顕著に抑制されました。
この実験結果は、配糖ルチンによる生活習慣病の予防を強く示唆しており、非常に興味深いデータと言えましょう。
キーワード: ケルセチン、配糖ルチン、臨床試験、食後血糖値、生活習慣病