ケルセチン・フラボノイド 論文・文献データベース

イソラムネチンによる脂性肌の治療

出典: Cosmetics 2026, 13, 37

https://www.mdpi.com/2079-9284/13/1/37

著者: Federica Cascella, Mohammad Reza Jahangiri Manesh, Enza Cestone, Gloria Roveda, Martina Masciarelli, Vincenzo Zaccaria, Violetta Insolia, Vincenzo Nobile

 

概要: 脂性肌はオイリー肌とも呼ばれ、皮脂を過剰分泌する肌質です。べたつく自覚症状に加えて、過剰な皮脂が毛穴を詰まらせて、にきびが出来やすくなります。また、皮脂の分泌箇所を中心に、メークが崩れやすいのも特徴です。今回の研究では、ケルセチンが体内で変化して作られるイソラムネチンという物質による脂性肌の改善が、臨床試験(ヒト試験)で実証されました。

試験は2024年11月から翌2025年1月にかけて、イタリアのミラノ市の郊外にて、18~40歳の脂性肌の被験者22名を対象に実施されました。内訳は男性・女性ともに11名です。0.3%のイソラムネチンを含むクリームAと、イソラムネチンを含まないクリームBの2種類を用意します。イソラムネチンの有無を除けば、クリームの内容は同じです。従って、見た目だけではAとBは区別できません。顔の右半分と左半分にそれぞれのクリームを塗りますが、塗る場所と種類は無作為に割り当てられました。すなわち、データの均質性を担保した試験です。また、試験期間中は勿論、全てのデータ解析が完了するまでは、個々の被験者が塗る場所と種類に関する情報は、被験者本人にも試験実施者にも一切知らせません。これは二重盲検と呼ばれる措置で、思い込みや先入観が試験結果に影響することを排除する目的です。無作為化と二重盲検は、臨床試験の信頼性を高める上で、重要な概念です。

クリームの塗布は、朝と夕方の1日2回、洗顔直後に行いました。塗布期間は28日で、期間の前後と中間点である14日目の計3回、脂性肌の検査を行いました。塗布期間前の検査では、額の皮脂量に左右に差はなく、1 cm2あたりで189.2 μgと186.6 μgでした。これが14日目、塗布期間の終了時と経過するに従い、差が開きました。イソラムネチンを含むAを塗った額の皮脂量は、189.2→164.3→148.7 μgと減少したのに対し、比較対照のBでは186.6→183.0→182.3 μgと横ばいでした。14日目と終了時のデータを統計的に処理すると、イソラムネチンを含むAが優れている確率が99.9%、比較対照のBが優れている確率が0.1%と算出されました。また、皮脂量の検査は額だけでなく鼻でも行いましたが、同様の傾向を示しました。

皮脂量は脂性肌になると上昇する指標ですが、そもそもの原因である皮脂の分泌量も評価しました。ここでは額と鼻を分けないで、顔全体で1 cm2あたり、1時間当たりの分泌量を比較します。Aでは37.5→27.8→23.2 μgと減少し、Bでは37.2→32.9→35.7 μgでした。よって、皮脂の分泌量にも両群で顕著な違いを認めました。

以上、無作為化・二重盲検で実施した試験にて、イソラムネチンによる脂性肌の治療効果が検証されました。28日間にわたるイソラムネチンを含むクリームの塗布は、イソラムネチンを含まないクリームと比べて顕著に、額および鼻の皮脂量を減少しました。脂性肌の原因である皮脂の分泌量も、イソラムネチンを含むクリームを減少しました。

キーワード: 脂性肌、イソラムネチン、臨床試験、無作為化、二重盲検、皮脂量